2022年シーズン、MotoGPの1/3が終了しました。レースウィーク直前にはスズキが「今シーズン限りで停止する可能性をMotoGP主催者のドルナと協議中」と発表し、激震が走った。が終了した時点での勢力図を振り返りたい。
日本メーカーはいつになったら勝てるんだろう。そんな不安が続いた前半戦。
2022年シーズンは、全21戦で開催。21年は新型コロナウイルスの影響で中止になったグランプリが6戦あったため全18戦で行われたが、今シーズンは今のところ順調にレースが開催されているされている。
5月15日のフランスGP終了時でシーズンの1/3が終了。2022年は各メーカーの勢力図が大きく変化した年でもあり、圧巻なのはドゥカティが8台も走っていること。に参戦するチームで、各チームから2名ライダーのが参戦している。
・ドゥカティ・レノボ・チーム
フランチェスコ・バニャイヤ #63
ジャック・ミラー #43
・グレシーニ・レーシングMotoGP(ドゥカティ)
エネア・バスティアニーニ #23
ファビオ・ディ・ジアントニオ #49
・ムーニー VR46 レーシングチーム(ドゥカティ)
ルカ・マリーニ #10
マルコ・ベッゼッキ #72
・プラマック・レーシング(ドゥカティ)
ヨハン・ザルコ #5
ホルヘ・マルチン #89
・レプソル・ホンダ・チーム
マルク・マルケス #93
ポル・エスパルガロ #44
・LCRホンダ
中上貴結晶 #30
アレックス・マルケス #73
・モンスターエナジー・ヤマハ MotoGP
ファビオ・クアルタラロ #20
フランコ・モルビデリ #21
・WithU ヤマハ RNF MotoGPチーム
アンドレア・ドビツィオーゾ #4
ダリン・ビンダー #40
・チーム・スズキ・エクスター
ジョアン・ミル #36
アレックス・リンス #42
・レッドブル KTMファクトリー・レーシング
ブラッド・ビンダー #33
ミゲルオリベイラ #88
・テック3 KTMファクトリー・レーシング
ラウル・フェルナンデス #25
レミー・ガードナー #87
・アプリリア・レーシング
アレイシ・エスパルガロ #41
マーベリック・ビニャーレス #12
開幕すると、外車勢の強さが目立ち、国産勢が苦戦した序盤戦。 しかし、シーズンはまだまだ始まったばかりだし、誰が勝つかまったく読めない展開のレースばかり。 。

世界最高峰のレースライダーを戦い達人。今回は、第7戦までの表彰台を以下に並べてみた。
第1戦:カタールGP『スズキが大幅にパワーアップ。その最高速にも注目!』
第1戦は3月6日のカタールGP。ロサイル・インターナショナル・サーキットで行われるナイトレースは、もはや開幕戦の風物詩として定着した。そんなカタールで勝ったのは、MotoGP 2年目、ドゥカティを駆るエネア・バスティアニーニ。新生グレシーニでの初勝利はとても感動的だった。
個人的に期待していたのは、2021年後半戦に強さを発揮しランキング2位で終えたフランチェスコ・バニャイヤだったが転倒リタイヤ。さらにポル・エスパロガロが3位に、マルク・マルケスが5位に入り、ホンダ復活の兆しを感じさせた。
順番ウイークで最高速をマークしたのは、スズキのジョアン・ミルの357.6km/hで、2位はアレックス・リンスとバスティアニーニの355.2km/hだった。させてくれるものだった。
第1戦:カタールGPの表彰台は以下の通り。

1位 E.バスティアニーニ(ドゥカティ)、2位 B.ビンダー(KTM)、3位 P.エスパルガロ(ホンダ)
第2戦:インドネシアGP『マルケスがハイサイドによる脳震盪で決勝を欠場』
決勝は、豪雨による大幅な遅延&減周に。そんな決勝を制したのはKTMのミゲル・オリベイラだった。ウエットを得意な選手が活躍する戦略、クアルタラロの安定感が光ったレース。チャンピオンの強さを感じさせてくれた。
さらに開幕戦に引き続き注目したいのはスズキのポジションで、開幕戦は6位ミル、7位リンス、第2戦は5位リンス、6位ミルと安定していたのが印象的だった。
ちょっと心配だったのは、マルク・マルケスがウォームアップのハイサイドで脳震盪を起こす、決勝を欠場していることだ。
第2戦:インドネシアGPの表彰台は以下の通り。

1位 M.オリベイラ(KTM)、2位 F.クアルタラロ(ヤマハ)、3位 J.ザルコ(ドゥカティ)
第3戦:アルゼンチンGP『まだまだ新型コロナウイルスの影響を感じた一戦』
中上貴晶が新型コロナウイルスにより欠場。 そんなニュースが飛び込んできたかと思えば、機材の遅れでレース進行が大幅に遅れたため、中上の参戦も可能に。欠場となった。
その模様はこちら(32歳、200戦目の歓喜! グランプリ初優勝のA・エスパルガロがアプリリアにMotoGP最高峰クラス初勝利をもたらす【アルゼンチンGP】をご覧いただきたい。
2位は開幕から予選結果は良かったものの、決勝はすべて転倒リタイヤしていたホルヘ・マルティン。 3位には今季初めてスズキのリンスが入った。
ちなみにここまでで、今季2回の表彰台に上がっているライダーは皆無で、今シーズンはかなりの混戦になることが予想される。
第3戦:アルゼンチンGPの表彰台は以下の通り。

1位 A.エスパルガロ(アプリリア)、2位 J.マルティン(ドゥカティ)、3位 A.リンス(スズキ)
第4戦:アメリカズGP『ドゥカティが予選トップ5を超える!』
その結果の通り、序盤はドゥカティ勢の戦いが展開されるが、スズキのリンスが奮闘。ストレートで抜き返されてもコーナーでパスするスズキらしいライディングスタイルは、観ていてとてもワクワクさせてくれる。
優勝したのは今季2勝目いちばん乗りとなるバスティアニーニ。復帰したマルケスはスタートでミスして大きく前進、しかしレースペースは良く6位フィニッシュ。
第4戦:アメリカズGPの表彰台は以下の通り。

1位 E.バスティアニーニ(ドゥカティ)、2位 A.リンス(スズキ)、3位 J.ミラー(ドゥカティ)
第5戦:ポルトガルGP『クアルタラロ、今季初勝利! 日本メーカー、今季初勝利!
初日、予選とほとんどがウエットだったが、決勝はドライに。 そこで強さを発揮したのがクアルタラロで、序盤にミルをパスすると独走編成に。久しぶりに観るクアルタラロの独走劇だった。
そして、ここまでアプリリアを駆るエスパルガロの安定感といったらない。
第5戦:ポルトガルGPの表彰台は以下の通り。

1位 F.クアルタラロ(ヤマハ)、2位 J.ザルコ(ドゥカティ)、3位 A.エスパルガロ(アプリリア)
第6戦:スペインGP『ドゥカティファクトリーのバニャイヤ初勝利。今シーズンのバイクがまとまってきた?
これまで一度もトップ争いをできていなかったドゥカティのバニャイヤが初勝利。終始、クアルタラロを従える展開だったが危なげない走りでチェッカーを受けた。
ケマルスに競り勝ったアプリリアのエスパルガロは、2戦連続の3位表彰台を獲得している。
詳細はこちら(2022 Moto2第6戦スペインGP 【小椋藍、世界グランプリ初勝利は、完璧なポール・トゥ・ウィン!】)
第6戦:スペインGPの表彰台は以下の通り。

1位 F.バニャイヤ(ドゥカティ)、2位 F.クアルタラロ(ヤマハ)、3位 A.エスパルガロ(アプリリア)
ここで、衝撃のニュースが……『スズキが2022年末で、MotoGP参戦を終了!?』
その数日後にはスズキからオフィシャルのアナウンスもあり「チーム・スズキ・エクスターが、2022でMotoGP」参戦を終了することについて、ドルナスポーツと協議している」とした。
以下、リリース全文
MotoGPについて
スズキ株式会社は、ドルナスポーツと2022年末で提携FIMロードレース世界選手権(MotoGP)参戦を終了することについて協議しています。
現在の経済危機と近年の自動車産業界が直面している大きな変化への対応を加速するために、スズキは、資金と人の資源を新しい技術の開発に集中的に投入していきます。
これまでスズキの二輪レース活動を支え、温かい声援を送っていただいたファンの皆様に感謝申し上げます。

すでにミルはレプソル・ホンダ入りの噂が流れているが……。
第7戦:フランスGP『24歳のバスティアニーニが今季3勝目! ファクトリーに競り勝つ!
レース序盤はドゥカティ同士の戦い。ポールポジションのドゥカティファクトリーのバニャイヤが絶好調に見えたが、バスティアニーニが仕掛けるとバニャイヤがリズムを崩し転倒リタイヤ。続きはフランスで今季3勝目上げた。
そして、アプリリアのエスパルガロが自身初、メーカーとしても初となる3戦連続の表彰台を獲得している。
今シーズンの1/3が終了し、ドゥカティファクトリーが徐々に仕上がってきている印象。ホンダはフルライダーの調子が上がらない。ヤマハはクアルタラロただ一人が奮闘し、安定した走りでランキングトップを死守している。
2022年MotoGP、全21戦中、7戦終了時のランキングは以下の通り。
1 F.クアルタラロ(ヤマハ) 102
2 A.エスパルガロ(アプリリア) 98
3 E.バスティアニーニ(ドゥカティ) 94
4 A.リンス(スズキ) 69
5 J.ミラー(ドゥカティ) 62
6 J.ザルコ(ドゥカティ) 62
7 F.バニャイヤ(ドゥカティ) 56
8 B.ビンダー(KTM) 56
9 J.ミル(スズキ) 56
10 M.マルケス(ホンダ) 54
第7戦:フランスGPの表彰台は以下の通り。

1位 E.バスティアニーニ(ドゥカティ)、2位 J.ミラー(ドゥカティ)、3位 A.エスパルガロ(アプリリア)


レーシングブーツシーズンにシャンパンを入れて、表彰台の面々に回す……。ファクトリーのシートも虎視眈々と狙っているはず。
MotoGP 2022年シーズンの1/3が終了して……
5月に入り、まさかのスズキストップの話が出たが、そこで問題になるのは来シーズンのライダー(もちろんスズキ関係者全員でもある)の読者先の話である。スズキは今シーズンからリビオ・スッポ(ドゥカティ&ホンダの強い時代を支えたチームマネージャー)が加入し、今後の組織づくりがとても楽しみだった。
以下は、すでに契約の済んでいるライダー。
●マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)2024年まで
●フランコ・モルビデリ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)2023年まで
●ブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)2024年まで
●フランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)2024年まで
これ以外のライダーは、今後の契約の話をしていないといけない。
もちろんMoto2からセレスティアーノ・ヴィエッティや小椋藍などが上がってくる可能性もあるだろう。
レースの動きだけでなく、こういった動きにも注目しながら2022年シーズンを楽しんでいきたいと思います。
関連記事
残り4周というタイミングで名勝負が繰り広げられた2022全日本ロードレース選手権の第2戦 鈴鹿 決勝レース2。[…]

関連記事
当然世界最高峰のレースであるMotoGP。 その戦いの中で、毎年形状が進化しているのが混乱しているカウリングのメーカーパーツである。すればハンドリ[…]

関連記事
最近のMotoGPマシンの進化で目に見えてわかりやすいのは、カウリングの形状や空力デバイスの進化。 エンジンやフレームの進化は正直わかりにくいものが多い。 今回は第5戦ポルトガルGPの予選で気になったたリヤ[…]

関連記事
年々新しいチャレンジが行われているMotoGPマシン。 ここ最近目に見える進化はホールショットデバイスとライドハイトデバイスだ。[…]

関連記事
1974年生まれの僕にとって、1985年のレーシングマシンはリアルタイムの憧れではない。フレーム[…]
