シンプルだけどグローバルな魅力─リアルな動物フィギュアでおなじみのドイツ「シュライヒ」が好調な理由 |意外な成長力に独紙も注目 |クーリエ・ジャポン

シンプルだけどグローバルな魅力─リアルな動物フィギュアでおなじみのドイツ「シュライヒ」が好調な理由 |意外な成長力に独紙も注目 |クーリエ・ジャポン

シュライヒのフィギュアとセットで遊ぶ子供 Photo: Daniel Karmann / picture Alliance / Getty Images

シュライヒのフィギュアとセットで遊ぶ子供 Photo: Daniel Karmann / picture Alliance / Getty Images

Text by COURRiER Japon

「シュライヒ」という、ドイツ発の動物フィギュアのシリーズをどうだろうか。

ドイツのお土産としても人気のほか、現在は日本法人もあるため、日本のおもちゃ屋やインターネットでも買うことができます。ており、まるで動物図鑑の挿絵を立体化したような、とてもリアルな仕上がりになっているのが特徴だ。

1935年の会社設立以来、シュライヒ社は一貫してプラスチックのフィギュアを作り続けてきました。音や光などを発するギミックが豊富なおもちゃが溢れていたり、小さい子供もゲーム機やパソコンに夢中になっていたりする現在では、リアルだけど単純な動物のフィギュアの人気は限られるのではないかと思われるかもしれません。

「南ドイツ新聞」によると、2022年、提携の売上高の伸び率は2桁になると見られており、「8年連続の記録更新」になるという。

これはドイツでも驚きをもって受け止められ、注目されている。

中国への依存度が低く

南ドイツ新聞によると、シュライヒの動物フィギュアの製造拠点は、60%が中国とベトナム、25%がチュニジア、15%がポルトガルとなっている。また、本体フィギュア以外はヨーロッパで製造しているという。 60%という数字だけを見れば半分以上だが、この割合はほかのおもちゃメーカーに比べてはるかに低いと南ドイツ新聞は指摘する。

販路も、同業他社とは異なり、中国での拡大を特に目指しているわけではないという。 海外展開には力を入れており、中国にも代理店はあるが、むしろ売り上げの3割を得る「アメリカ大陸が最も重要な成長市場だ」とエンゲハウゼンは言う。

中国に生産拠点や販売網を重点的にそろえていた企業のなかには、最近の世界情勢によって、思うようにいかなくなったところもある。 南ドイツ新聞によると、ドイツのおもちゃ業界はここ数年、新型コロナウイルスのパンデミックによる閉鎖や輸送の滞りに工場が振り回されてきました。

結果論かもしれないが、中国への依存度が低かったことで、シュライヒはダメージを軽減できたと言える。

ストーリーを生み出す「セット」

上記の経営的なテクニックも確かに成功の要件だろうが、やはり一番重要なことは、商品そのものの魅力だ。 南ドイツ新聞の記事からは、購買意欲を掻き立てるような商品ラインアップを工夫していることがわかる。

その中でも重要なのが、売り上げの半分を合理化しているという「プレイセット」だと南ドイツ新聞は書いている。つくりあげ、フィギュアを増やせばその世界をどんどん広げているような「セット」も販売しているのだ。

例えば、「厩舎」のセット。厩舎には馬房が5つあるから、馬のフィギュア一頭だけではちょっと寂しい。また、立っているだけの馬では、複数あったとしても少しつまらないかもしれない。このラインアップには、走っている馬、草を食む馬、嘶く馬など、さまざまな種類のポーズが存在する。

このように複数のフィギュアをそろえたり、増やしたりして、子供の遊びのなかの世界やストーリーが展開されるようになっている。フィギュア一体では完結せず、リピート客が生まれるだ。

「プレイセット」の販売は2015年にエンゲハウゼンがCEOに就任してから始まったという。

サステナビリティへの取り組み

また、独紙「フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング」の取材でエンゲハウゼンは、サステナビリティへの取り組みを強化しているとコネクション。

もともと耐久性の高いシュライヒのフィギュアは、世代を超えて受け継がれることも多かった。従来はごみとして捨てられていた自社のフィギュアを回収して、それをむだなく使ってもう一度自社のフィギュアの製造にまわせる仕組みを整えることが最終目標だ。

これは環境のためでもあるし、市場のためでもある。になるだろうと確信しているそうだ。

商品自体については昔と変わらぬシンプルさを貫きつつ、時代に適合した経営判断を下し、売り方や事業展開のしかたを工夫する── 一見すると意外なシュライヒの絶好調から、ほかの企業が学べることは多いかもしれない。



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